染の品質について

 

 現在ではさまざまな染(染)の技法があり、それぞれに良いところがあります。染によって手間が異なり、結果として、染め上がりの品質や印象、そして価格が大きく異なります。このページでは、子供着物の代表的な(染)の方法をお伝えすることで、商品選びの参考にしていただければと思います。

 



現代の染(そめ)の主な技法


(1)手描き(手描き友禅、絞り染めなど) 

  文字通り、筆などを使い手で描きます。加賀友禅や作家さんによる一品ものは、この手描きによるものです。糸目や線描だけでなく、型で描いた糸目の中に、色をさすことなども、筆で行われています。
 
手描きであることの利点は、手の仕事の味が線描や色の濃淡・ぼかしなどに残り、独特の味になることです。 たとえば、手描きの場合、地色を除く色をさした部分は、裏まで染料が染みており、それだけ染料が生地深くに染まっていることがわかります。それが、色の深みになったり、鮮やかさになったりするのです。
 型を使ったりするのちに技術革新によって、染の能率は上がりましたが、もちろん、それらが目指していたのは、もともと手で作られていた仕事を、いかに道具や機械を使って早く、安く、しかも、品質的にはそれに近いものをつくるかということです。
 たとえば、手ざし友禅の男児の着物は、熟練の職人さん、作家さんの手にかかっても、一日半から二日はかかります。おなじ図案をインクジェットで染めると、30分で終わるでしょう。それがダイレクトに価格差になります。
 しかし、図案は同じでも、色の深みや鮮やかさ、細部の味などが異なり、間近で見る実物には、歴然と差があるのです。
 実物を間近で比較していただくと、その差はかならず実感していただけるものと思います。

 

(2)型友禅

 柄にそって切り抜いた型紙を使って染めます。 かつては、職人たちが、型紙の柄の細かさ、正確さを競いました。
 染料や糊をのせるには、刷毛を使います。板に布を貼り、その上に型紙を正確にのせて、刷毛で染料や糊を刷り込んでいきます。
 
ぼかしを染める時は、型紙の上から、スプレーで染料を吹きかけます。
 1色毎に2枚の型紙が必要となりますが、絵羽のデザインになっているものは、部分毎に型紙をつくるため、子供着物1着分では180枚、振袖1着分では500枚以上の型紙が必要となります。
 手描き友禅に比べると、同じ図案、同じ色のものを、ブレなく量産できることになります。江戸時代からおこなわれている、染の機械化の一歩目といってよい染め方です。

 

(3)スクリーン捺染

  型友禅との違いは、細かなネット状のスクリーンに写し取った写真型を型に使うところです。
 型友禅のように彫刻刀で一枚一枚切り抜く必要はありません。
 プリンターに柄を打ち出したプラスティック性のシートを、薬品を塗ったネットを重ねて光に当てます。光が当たった部分は薬品がネットとともに一体となって固まりますが、シートに印刷された柄部分には光があたらないため、薬品は化学変化をおこさずネットのままのこります。 その部分が切り抜いた部分となります。
 染料をのせるには、より大型の刷毛で一気に塗ります。
 型を機械的に制作するため、型友禅より細かな柄が可能で、ぼかしは、細かな点を染めることによって表現します。  型友禅と同様に、振袖一枚に、何百枚という大量の型が必要となります。より能率を追求した作業工程になっているため、型友禅よりコストは下がりますが、最低ロットは24反(型友禅は12反)になります。 インクジェットが一般的になる前は、このスクリーン捺染が主流となっていました。
 スクリーン捺染のものは、最新のインクジェットより美しく見える部分は、金銀彩の表現と胡粉の白であると言われています。スクリーン捺染のほうが正確に金彩をのせることができますし、また、白は胡粉をのせるためふくよかな白になります。

 

(4)インクジェット

 コンピューターのプログラム通りに、色を生地に吹きつけて染めます。
 インクジェットの良さは、柄の濃淡や細部の表現が、絵を書くように自由自在であるところです。写真をそのままリアルにプリントするというようなことも可能です。色数の制限も、型数の制限もありません。また、型代が不要のため、デザイン代をのぞけば、一着からでも制作可能となります。
 現在、直接布に染めるダイレクト型と、いったん紙に染めてそれを布に転写する昇華転写型があります。 昇華転写型は、ポリエステルにしかプリントできませんが、ダイレクト型は絹、綿にもプリントできます。
 生地の前処理、後処理の不要な昇華転写型はダイレクト型よりもローコストなプリントが可能ですが、昇華転写型のプリントは、アイロンの熱には弱いという弱点があります。アイロンが要らないように伸ばして干す、低い温度でアイロンを当てるなどの注意は必要です。
 最近は、とくに、インクジェットによる染の品質があがり、シェアが増えています。弊社でも昇華転写型のプリンターを導入しオリジナル着物の制作をおこなっています。 

   



絞り染について



 

  柄のなかに絞り染めが施されていると、とても柔らかでかわいい雰囲気になります。「絞り」は文字通り、糸で縫い絞って染まるところと染まらないところをつくる技法ですが、京都では、「桶絞り」と言って、絞って染める部分と、染め抜く(白地に残す)部分を分けるために、伝統的に桶を使っています。
写真はその桶に、縫い絞った生地をうちとめているところです。蓋をして麻紐できつく締め上げます(下の2枚目の写真)。このままの状態で、約80度の染料の中につけこみます。桶の外の部分は染料に染まり、中は染料が入らずに染め分けられることになります。
 この密封具合が絞りの染め分けに微妙に影響するので、職人さんが長年の熟練によって、それを専門におこないます。このヒノキの桶も使えば使うほど高さが減っていくのですが、次につくってくれる桶の職人さんがいないということです。
 現代では、絞りそっくりに染めたもの、またその上に、皺加工をほどこしたものなどがありますが、ほんものの絞り染は、とても手間のかかる仕事なのです。






ダックについて

 


 染料は布に滲みます。そのため、色を染め分けるためには、糊で防染したり、絞りあげたりする必要があるのですが、「ダック」という薬品を染料に混ぜて染めると、ほかの染料をはじいてそれ以上、染まらなくなります。
この写真は、ダックで染めた兜の背景の色を、引染めで裏から染めているところです。ダックを使うと防染する1工程を減らすことができるため、よく使われていますが、染の風合いはやや落ちると言われています。




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